この章ではサウンドクリエイター目線でのミックスについてまとめています。
細かい専門技術はそぎ落とし、サウンドクリエイターの制作現場に直結する内容にまとめ、まずは一気に底力を上げることに徹底した内容にしております。
特に音楽の専門知識を先に勉強してきたコンポーザー志望の方の場合、まず最初に躓くのはミックスについてだと思います。
ただし、世の中の専門書などはクリエイター目線で書かれているわけではありませんので、非常に難しく感じ、また制作現場での目の前の課題と乖離していることもあります。
そこでまずサウンドクリエイターが陥りやすい、ミックスができない原因についてまとめます。
ミックスができない原因と対策
ミックスができない原因には以下の点があります。
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ミックスが何故大切なのかわからない。
コンポーザーメインの仕事が希望の方の場合、ミックスそのものに興味がないため覚える気にならない、ということよくあります。
もちろんミックスエンジニアという専門職があるのですから、一部の作曲家であればそういう考え方も間違いではありません。
しかし、サウンドクリエイターの場合、サウンドメイキングを含めての作品となりますし、可能な限り多岐に渡った技術を持つ必要がありますので、しっかりと学ぶ必要があります。
また、近年では例えば作家さんであっても、デモの段階で既に完パケ(=完成品)に近いクオリティーが求められるのが普通になってきていますし、クライアント様に「デモから完成品を想像する能力」を求めるのは通用しない時代です。
- そもそも何が「良い音」なのか分からない。
これもよくありがちなことです。
この状態では先輩にアドバイスを受けても、それを直す意味が分からず身につきません。
まずは世の中で良いとされてきた音楽を沢山聴き、自分の好きな音楽を掘り下げ、映画やアニメやTVを沢山見て、ゲームを遊び、自分の中の基準を設けるしかありません。
自分のリファレンスCDを持つことも大切です。
- 自信がない。
これも地味に危険なことです。
恐る恐る他人の評価を恐れて無難なものばっかり作ろうとすると、いつまで経ってもそれを脱せない状況になります。
例えば料理ですと、失敗して塩っ辛い味噌汁を作ってみないとお味噌のサジ加減なんてわからないです。
そのわからない状況で、耳掻き一杯分のお味噌の量の調整なんてやっても無意味なことですので大切なのは「自信をもって盛大に失敗し恥をかくこと」です。
- EQが分からない。
イコライザーの扱いがわからないため、マスキングされて音がもこもこしたり、逆に分離したり、不必要な音がカットできずコンプが誤作動してしまい音圧がでなかったりという状況に陥ります。
- コンプが分からない。
そのために各々のパートのダイナミクスをコントロールできず、出したい音が出せなかったり迫力が出せなかったり、サスティンのコントロールができないという状況に陥ります。
- 音像がわからない。
リバーブでの奥行きや広がり、その音楽に適した定位や前後感がつけられないという状況に陥ります。
この章では上記のことを踏まえ、クリエイター目線でのミックス対策を即効性のある形でまとめていきます。